住宅リフォームの種類が、「耐震リフォーム」の場合、税の優遇制度のうち利用可能なもの・利用できないものは、以下のとおりです。
なお、ここで言う「耐震リフォーム」とは、新耐震基準(昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用されています)を満たしていない住宅を、基準を満たすように改修することを指します。
(注1)利用するには所定の要件を満たす必要があります。ご注意ください。
(注2)たとえば、「耐震リフォームと一般の増改築を同時に行う」「バリアフリーリフォームと省エネリフォームを同時に行う」というようなケースは少なくありません。このような場合に、税の優遇制度を併用できるかどうかについては、なるべく解説の中で触れますが、詳細は税務署にお問い合わせください。
(1)投資型減税(1年限りの所得税の控除)
ローンを利用しない住宅リフォームでも利用できるのが、投資型減税の制度です。
既存住宅に耐震リフォームを施した場合には、利用することができます。
住宅ローン控除との併用や、「バリアフリー」「省エネ」の各リフォームについての投資型減税と、併用が可能です。
【要件】
(1) 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であって、自己の居住の用に供する家屋であること。
(居住の用に供する家屋を二つ以上所有する場合には、主として居住の用に供する一つの家屋に限る)
(2) 耐震改修(地震に対する安全性の向上を目的とした増築、改築、修繕または模様替えをいう。以下同じ)をした家屋が、現行の耐震基準に適合するものであること。
(3) 平成29年12月31日までに工事を完了すること。
(4) 住宅耐震改修を行った者が、税法上の「居住者」であること
(5) 確定申告をして、「住宅耐震改修証明書」等の必要書面を添付すること
※住宅ローンを借りていなくても利用でき、所得金額の制限もありません!
【控除率】
平成26年4月1日~平成29年12月31日までの間に耐震リフォームを完了した場合
→住宅耐震改修に関して”国が定めた標準的な工事費用”の10%
・ただし、上限は原則が25万円で、工事費用にかかる消費税が5%なら上限は20万円です。
・”国が定めた標準的な工事費用”は、住宅耐震改修証明書に記載されています。
・補助金などをもらっている場合には、その補助金の額を差し引いてから、控除率を掛けます。
(2)ローン型減税(5年間の所得税控除)
償還期間5年以上の住宅ローンを借りて”特定の増改築”を行う場合に、5年間の所得税控除(控除率2%または1%)を受けることができるのがローン型減税の制度で、正式名称は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」といいます。
「耐震リフォーム」の場合、”特定の増改築”に当てはまらないので、ローン型減税の制度は利用できません。ただし、一定の「バリアフリー」「省エネ」リフォームと同時に行う場合には、耐震リフォームの部分についてもローン型減税の制度を利用することができます。
詳細は「バリアフリー」「省エネ」リフォームのページで説明します。
(3)住宅ローン控除(10年間の所得税控除)
償還期間10年以上の住宅ローンを借りて増改築を行う場合に、10年間の所得税控除(控除率1%)を受けることができるのが住宅ローン控除の制度で、正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。
増改築の内容に制限がないので、「耐震リフォーム」でももちろん利用できます。
控除率や要件等の制度内容は、新築や取得の際の住宅ローン控除とほとんど同一です。401 住宅ローン控除について(新築・取得の場合)をご覧ください。
ただし増改築の場合には、以下の要件が追加されます。
(A)その工事費用の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。
(B)次のいずれかの工事に該当するものであること。
・増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模の模様替えの工事
(注)ここで言う「大規模な修繕または大規模の模様替え」とは、建築物の主要部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)のいずれか1種以上について行う過半の修繕・模様替えを指す。
・マンションなどの区分所有する部分の床、階段、間仕切り壁、壁(遮音性・断熱性を向上させるものに限る)の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
・家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、廊下について、一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
・新耐震基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事
・一定のバリアフリー改修工事
・一定の省エネ改修工事
(4)固定資産税の軽減
要件を満たすリフォームを行うと、1年度または2年度の期間、一定の割合で固定資産税が軽減される制度。
なお、耐震リフォームについての固定資産税特例は、「バリアフリー」「省エネ」リフォームによる固定資産税の特例と同一年度に適用することができないため、どちらかの特例を選択する必要があります。
【要件】
以下のすべてに該当すること
(1)昭和57年1月1日以前から存在する住宅であること
(2)平成27年12月31日までに工事を完了すること
(3)併用住宅の場合、耐震リフォーム後の家屋の居住部分が2分の1以上であること
(4)現行の耐震基準に適合する耐震改修であること
(5)耐震改修工事費用が50万円を超えること
(6)「固定資産税減額証明書」または「住宅性能評価書の写し」を添付して、工事完了後3ヶ月以内に市区町村(都内は都税事務所)に申告すること
※耐震化のために「建て替え」を行う場合の固定資産税特例とは、申請期限などの要件が異なります。
【減額される税額】
一戸あたりの居住面積が120㎡以下の場合 :2分の1
一戸当たりの居住面積が120㎡を超える場合:120㎡相当分の2分の1(120㎡を超える部分は適用外)
【減額される期間】
原則として1年間のみ
(「通行障害既存耐震不適格建築物」について耐震リフォームを行った場合は2年間)
(5)贈与税の特例
・「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」については、耐震リフォームでも利用可能です。
329 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例をご覧ください。
・「相続時精算課税制度の住宅取得等資金の特例」についても、耐震リフォームでも利用可能です。
326 相続時精算課税制度(2) 適用要件と住宅資金等特例をご覧ください。
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