005 贈与税の非課税財産

贈与財産の中には、課税されない財産があります。これを『贈与税の非課税財産』といいます。

財産の性質や贈与の目的、国民感情や政策的配慮からみて、贈与税をかけるのは適切ではないと判断されているものです。

以下の財産を贈与によって取得した場合は、贈与税が非課税となります(相続税法第21条の3および4、および同条に関連する相続税基本通達)

法人からの贈与財産

贈与税は非課税ですが、所得税がかかります。
『法人』には、国・地方公共団体のほか、外国法人、法人格のない社団や財団も含みます。

夫婦や親子、祖父母、兄弟姉妹など、扶養義務者からもらった生活費や教育費

民法877条では直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養をする義務があると定められ、特別の事情があるときは、家庭裁判所は三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができると定められています。
これを受けて税法では、配偶者及び民法第877条に定める親族を『扶養義務者』と呼び、扶養義務者から生活費教育費として必要な都度直接贈与を受けた財産で、被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切を考慮して通常必要な金額については、贈与税は非課税です。
仕送りや学費などがこれにあたりますが、生活費や教育費以外の目的に使われているものや、通常必要な金額を超えて預金されているようなものには、贈与税が課税されます。

公益事業のために贈与を受けた財産

宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う一定の人が贈与により取得した財産で、公益事業に使われるものについては贈与税が非課税です。

一定の特定公益信託から給付された財産

いわゆる給付型の『奨学金』などで、贈与税は非課税です。

心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権

条例の規定により地方公共団体が設けている心身障害者共済制度については、その給付金は贈与税が全額非課税です。

特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権

特定贈与信託などと呼ばれて商品化されているもので、相続税法第19条の4第2項に規定する特別障害者を受益者とする特別障害者扶養信託契約については、特別障害者1名あたり6000万円まで、贈与税非課税の取り扱いとなっています。

公職選挙の候補者が、選挙運動のために贈与により取得した金品

国会議員、地方議員、知事、市町村長などの公職選挙に際して、候補者が選挙運動のために贈与を受けた財産については、公職選挙法の規定に基づく報告がなされているものに限り贈与税が非課税です。

社交上必要と認められる香典など

個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどための金品については、贈与者と受贈者の関係などに照らして社会通念上相当と認められるものに限り贈与税が非課税となります。
債務免除などを受けた人が、資力がない場合

無償またはいちじるしく低い対価で借金の免除や肩代わりを受けた場合は、みなし贈与として贈与税がかかるのが原則ですが、資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合には、その困難な部分について贈与税が非課税となります(相続税法8条)

離婚による財産分与の場合

離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税は非課税になります。
ただし、以下のケースは贈与税が課税されます(相続税基本通達9-8)。
・諸事情を考慮しても多すぎる場合、その多すぎる部分。
・離婚が相続税や贈与税を免れるために行われれた場合、全額。

被相続人から、亡くなった年に贈与を受けた財産

贈与税ではなく、相続税の課税対象となります。
ただし、この場合でも贈与税の配偶者控除を受けた財産は、相続財産に加算せずに贈与税の対象とすることができます。

作成:埼玉県八潮市三郷市の司法書士法人ひびき

2013年8月27日 | カテゴリー :