遺産分割調停の申立てはお早めに!
遺産についての協議が相続人の間でがまとまらない場合には、家庭裁判所を利用した「遺産分割調停の申立て」を検討して解決を図ることになります。
話し合いがまとまらないからといって放置してしまうと、次のような不利益をこうむる可能性があります。
- 相続関係が複雑になる
- 時間が経つにつれて相続人の中からお亡くなりになる方があらわれてくると、相続関係が枝分かれしてだんだんと複雑になっていきます。
遺産分割協議がまとまらないうちに相続人のどなたかが亡くなったり、認知症などで判断能力を失ったりすれば、解決への道のりはさらに遠くキビシくなってしまいます。
現在よりもさらに手間と費用がかかるようになることは間違いありません。
家庭裁判所での遺産分割調停の手続きは、7割が1年以内で終了しますが、一方で3年以上かかっているケースも5%あり、遺産が多いか少ないかは関係ありません。早めの調停申立てが、早めの解決につながります。 - 遺産を自由に処分できない
- 話し合いがまとまらない限り、遺産はすべて相続人全員の共有財産ですので、相続人の内の一人が自由に売却などの処分することはできません(預貯金については法定相続分で払い戻すこともできますが)。
- 相続税の特例が利用できなくなることも
- 遺産が高額であるために相続税がかかる場合には、相続税の申告期限(原則として相続開始から10ヶ月以内)までに遺産分割をして相続税の申告を済ませなければなりません。
もし協議がまとまらない場合には、取り急ぎ未分割の財産として期限内に申告をします。この際には小規模宅地等の課税価格の特例や配偶者の税額軽減の特例を受けることができませんが、申告の際やその後の一定の時期にきちんと手続きをし、これらの特例の適用を受けるために「更正の請求」を行うことが可能になります。
しかし、申告期限の翌日から3年を経過してしまうと、これらの特例を受けるためには遺産分割調停等の裁判手続きを取っているなどの「やむをえない事情」があることが条件になります。
そのため、遺産分割調停の申立ては早めに行うべきなのです。
遺産分割調停手続きのメリット
遺産分割調停は、家庭裁判所で行う手続きですが、いわゆる「法廷対決」をするものではありません。
家事審判官(裁判官)と調停委員で構成される調停委員会が、中立な立場で相続人それぞれの言い分を平等に聞き、調整に努めたり、時には具体的な解決方法を提案したりして、円満に話し合いで解決できるようあっせんする手続きです。
このような手続きがあるのは、遺産に関するもめごとが、そもそも相続人間で意思疎通ができていなかったり、誤解や感情のもつれが原因であったりすることが多いため、まずは調停委員などの第三者をまじえて話し合ってみることによって解決につながる可能性があるからです。
そのため、遺産分割についての争いは、まず最初に調停手続きをし、それで解決できない場合に審判に移行するのが一般的です。
- プライバシーは守られます
- 訴訟のように法廷で公開されるものではなく、公開されない部屋で行われるので、プライバシーが他人に漏れることはありません。
- 相手方と顔をあわせることはありません
- 原則として手続きの中では相手方と顔を合わせることはありません。申立人と相手方はそれぞれ控室に通され、交互に調停室に呼ばれて調停委員が話を聞きます。そのため、相手方を気にすることなく、自由に自分の意見を主張できます。寄与分や特別受益も主張できます。
遺産分割調停手続きの手順
遺産分割調停は、一般的には次のような手順で進めます。
- 1.戸籍謄本などを集めて相続人を確定する
- 以下の書類すべてを揃え、相続人を確定します。
ご要望に応じ、職務上請求により司法書士がすべての書類を代行取得できます(司法書士法人ひびきに遺産分割調停申立書作成をご依頼いただく必要があります)。
故人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本・原戸籍謄本)
故人の住民票の除票または戸籍の附票
相続人全員の戸籍謄本(三ヵ月以内)
相続人全員の住民票の除票または戸籍の附票(三ヵ月以内)
なお、きょうだいが相続する場合や代襲相続の場合には、他にも必要になります。 - 2.被相続人の遺産(資産と負債)を調査する
- 次のような財産関係の資料を集め、遺産目録を作成します(司法書士法人ひびきで代行取得できるものもあります)。
・不動産:登記事項証明書・固定資産税評価証明書など
・預貯金:通帳・残高証明書(※)など
・借地権や借家権:契約書
・株式など:預かり証・残高証明書など
・自動車:車検証の写しなど 他
(※)預貯金の残高証明は、死亡日の残高でなく、申立直前の残高 - 3.遺産分割調停申立書を作成し、家庭裁判所に提出する
- 遺産分割調停申立書、当事者目録、遺産目録、特別受益目録、相続関係図などの書面を作成し、添付書面・収入印紙(1200円)・郵便切手とあわせて管轄の家庭裁判所に提出します。
・管轄裁判所:相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または当事者が合意で定めた家庭裁判所 - 4.家庭裁判所の照会(問合せ)に回答する
- 必要に応じて、家庭裁判所から照会(問合せ)があるので、これに回答します。
(例)
・相続人の範囲
・遺産の範囲
・遺産の管理状況
・相続債務の状況
・遺言の有無
・申立てに至るまでの遺産分割協議の経過 など - 5.調停期日
- ・手続きの説明を受けます。
・申立人と相手方それぞれの主張を交互に調停委員が確認します。
・紛争の核心部分に集中して、調停委員が間に入って話し合いが進められます。 - 6.調停の終結
-
- 調停成立の場合、合意された内容にもとづいて調停条項案が示され、最終的に調停調書が作成されます(調停条項が履行されなければ、強制執行できます)。
- 調停不成立の場合、遺産分割審判に移行します。
- 7.調停調書正本を取得する
- 家庭裁判所に調停調書正本の交付を請求し、入手します(1枚あたり150円)。
これによって預貯金や不動産の名義変更が可能になります。
遺産分割調停申立て書類作成代行の費用
- 下記は遺産分割調停申立書作成についての「報酬額」と実費の目安です。
遺産分割調停申立書の作成および提出を司法書士が行います。 - 事案の内容により算定しますので、下記のご案内と異なることもございます。
- ご希望に応じて、相続人の調査(戸籍取り寄せ)や遺産調査を支援致します。
- 調停期日には申立人本人のご出席が必要です。なお、ご希望に応じて司法書士が期日に同行致します。
ただし、調停室には原則として同席できません。 - 調停外においても、司法書士が相手方と交渉することはできません。交渉の代理をご希望の場合には「弁護士」をたてる必要があります。
- 当事務所の、『遺産分割調停申立書作成サービス』に関する費用は、原則的に下記のとおりです。
基本報酬・付帯報酬・諸実費の合計を頂戴します。
申立書作成に関する費用は、遺産分割調停申立書を家庭裁判所に提出する前にお預かりさせていただきます。
申立て後、必要な支援が生じた場合には、その都度頂戴いたします。
1.基本報酬(消費税込み)
2.付帯報酬(消費税込み)
(代行した場合のみ申し受けます)
3.諸実費