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009 役員(2) 株式の譲渡を制限するかどうかで、必要な役員・機関は変わる

009 役員(2) 株式の譲渡を制限するかどうかで、必要な役員・機関は変わる

取締役会や監査役を置くケースは少なくなった

さて、008で、会社に置くことのできる『役員』『機関』には、どのようなものがあるのかをご紹介しました。
そして、最低限「株主総会+取締役1名以上」で会社が作れる、ということも説明しました。

平成18年の会社法施行以来、株式会社を設立する際には、このような『最小構成』で設立するケースが大半を占めています。「取締役会」とか「監査役」などを置くケースは、今では少ないです。

ほとんどの会社が「株主=経営者」なので、株主総会とは別にわざわざ取締役会を設ける実益は少ないですし、監査役を置く意味もあまりないからでしょう。株主が経営に直接関与しないような場合や、親会社が子会社を設立するような場合には、あえて取締役会や監査役を置くこともありますが、全体から見れば少数です。

(ちなみに、以前は、株式会社では「株主総会」「取締役3名以上」「取締役会」「監査役1名以上」が必須とされていました)

 

「取締役会」や「監査役」を“置かなければいけない”場合とは

このように「取締役会」や「監査役」を置かなくても良いことにするためには、実はある条件があります。

その条件とは、株式に譲渡制限という決まりがついている、ということです。逆に言えば、株式に譲渡制限という決まりがついていない場合には、「取締役会」と「監査役」を“置かなければいけない”ことになっています。

株式の譲渡制限とは、たとえば「当会社の株式を譲渡するには、株主総会の承認を要する」というような規定を、定款に記載します。 譲渡制限の内容は登記簿にも記載する必要があります(株券を発行したら、株券にも記載)。

 

では、どうして、『株式の譲渡制限』があるかどうかによって、会社の役員構成や設置機関が変わるのでしょうか?

 

本来、株式会社の株式は、他人に自由に売却して、投資した資金を回収することができるものです。たとえば、上場しているような大会社では、株式市場で自由に株式を売買できるようになっていますね。

しかし、日本の株式会社の99%を占める中小会社で、株主が自由にその株式を売買できるとしたら、ちょっと困ったことになります。

株式を持つということは、ある会社に対して様々な権利を持つ(カネも出すけど口も出す)ということで、一定数の株式を保有すれば実質的にその会社を支配することすら可能になるという、強力なものです。中小会社では株主数が10名以下であることが多いですから、その会社の株式を自由に他人に譲渡できるとなれば、「目が覚めたら会社が人手に渡っていた」というように、経営者や他の株主に多大な影響を及ぼしかねません。

そこで、会社が知らないうちに株主が変わらないように、株式の譲渡にシバリをかける制度があります。それが『株式の譲渡制限』なのです(この制度自体は50年くらい前からありました)。

なお、譲渡制限規定の内容は、株式の譲渡について誰か(株主総会、代表取締役等)の承認を要するというものに限られ、株式の譲渡を「禁止」するような定めを設けることはできないことになっています。

 

平成18年に施行された会社法を作った人たちは、この『株式の譲渡制限』に着目しました。
と言うのも、それまでは株主が数千人いるような超大会社でも、株主が一人しかいない町の小会社でも、同じ「株式会社」である以上、法律上は大きな違いを出すことができず、さまざまな点で実態と法律とが合わなくなってきていたのです。

「株式譲渡にシバリのある会社は、ほとんど中小企業に違いない。」
「株式を自由に譲渡して良い会社は、そこそこ大きな会社かこれから大きくなる予定の会社に違いない。」
「だったら、同じ株式会社でも、譲渡制限があるかないかで会社の仕組みをガラリと変えてしまってもいいんじゃないか?」
・・・と、このように考えたのですね、たぶん。

こうして、『株式の譲渡制限』がある会社は取締役会や監査役を置かなくても良いことになりました。反対に『株式の譲渡制限』がない会社は、昔のままに取締役会や監査役を置くことが義務付けられています。

 

『公開会社』と『非公開会社』の違い

専門用語なので覚える必要はまったくありませんが、平成18年の会社法施行後は、株式の譲渡制限規定の有無によって会社のタイプが異なるようになったため、一応、それぞれに名前が付いています。

  • 定款上、全ての株式に譲渡制限がついている会社は、非公開会社
  • それ以外の会社は、公開会社

現在のジャスダック証券市場に上場している株式のことを、昔は「店頭公開株」と呼んでいましたが、それとは何の関係もありません。単に、株式の譲渡制限規定が定款にあるかないかによる区別です。

そして、株式の譲渡制限規定の有無によるこの区別方法は、法律を作る側にとって非常に便利な区分であったため、これ以外にもさまざまな点で差を設けられています。
「今は小さくても将来は会社規模を大きくしたい」というような場合には、少なくとも下記の違いはご理解ください。
公開会社と非公開会社の違い

 

このように、非公開会社のほうが、公開会社よりもずっと自由度が高い内容になっています。
一般的な株式会社設立の場合は、株式に譲渡制限をつけて非公開会社としますので、この点であまり悩む必要はありません。

「株式の譲渡制限」は、非常に奥深い世界なのですが、会社設立時はこの程度の理解で十分です。

 

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