004 贈与税とは、どんな税金?

個人から個人が、年間110万円の基礎控除額を超える財産をもらったときに、財産をもらった人は国に贈与税を納める義務があります。年間110万円を超える財産をもらった人は、贈与税の申告をしなければなりません。

たとえば、親が子に自動車をタダであげたり、男性が女性に貴金属をプレゼントした場合、これらは民法上の贈与契約にあたり、あげた人を『贈与者』、もらった人を『受贈者』といいます。

そして、贈与された物の価額が1年間で110万円を超える場合には、贈与税の申告をする義務があります。
贈与税は原則として、贈与で受け取ったすべての財産にかかります。対象となるのは、現金・不動産・有価証券・貸付金など現金に換算できるものすべてです。

 

【注意】

(1)当事者間で「あげます」「もらいます」という合意がなければ贈与にならない

たとえば、子供のために、内緒で子供名義の預金をしていても、それは贈与にならず、子供から名義を借りているだけの自分の預金です(『名義預金』といいます)

 

(2)1月1日から12月31日までの1年間でもらったものすべての金額を合計して、110万円を超えれば贈与税を申告

たとえば、Aさんが、父親から、3月1日に100万円、9月15日に100万円をもらったならば、年間で110万円を超えるので贈与税の申告をしなければなりません。

また、Aさんが、ある年に父親から100万円を、同じ年に母親から100万円をもらった場合、二人からもらった金額の合計が110万を超えるため、贈与税の申告が必要です。

 

(3)贈与者・受贈者ともに贈与と認識していなくても、贈与税がかかる場合がある

当事者が贈与ではないと考えていても、次のような場合には実質的に贈与であるとみなされ、贈与税の課税対象になります(みなし贈与)。
(例)
・有償だが、時価よりもいちじるしく低い金額で、財産を譲り受けた場合
・債務の免除を受けた場合
・生命保険や損害保険で、他人が保険料を負担していた場合に、保険金を受け取った場合
(ただし、相続人が死亡保険金を受け取った場合はみなし相続税として相続税の対象)
・個人年金保険などの定期金について、他人が掛金を負担していた場合に、年金を受け取った場合
(夫が妻の個人年金保険の掛金を負担し、妻が年金を受け取った場合など)

 

(4)反対に、贈与であっても課税されない財産がある

社会通念から見て贈与税を課すのが適当でない場合には、贈与税が課税されません(贈与税の非課税財産)。

 

(5)贈与税が課されるのは個人から個人への贈与

『個人から会社』への贈与の場合は法人税、『会社から個人への贈与』の場合は、所得税がかかります。

 

贈与税の申告と納付

申告する人:財産をもらった人(受贈者)
申告期限:贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日
納税期限:申告期限と同じ
申告場所:受贈者の住所地を管轄する税務署(※)
提出書類:贈与税の申告書
※八潮市の方が、三郷市に有する土地を、千葉県柏市に住む息子に贈与した場合、贈与税の申告は柏税務署で行います。
贈与税申告義務者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

贈与税がかかるのはどうして?

それでは、贈与税がかかるは、どうしてなのでしょうか。
結論から言えば、「相続税を逃れることを防ぐため」です。

亡くなった人の財産を受け継ぐときには『相続税』がかかります。
あるていど資産がある方が亡くなった場合には、その資産に応じて税金を課す仕組みになっています。

もしも『相続税』の仕組みだけがあって『贈与税』の仕組みがなければ、生前にすべての財産を誰かにあげてしまえば、税金をまったく払わずに済んでしまいます。これでは相続税という仕組みを作った意味がありません。

そこで、相続税の仕組みを逃れることを防ぐために、贈与税という仕組みが設けられているのです。
そのため、贈与税に関してはは『相続税法』という法律の中に定めがあり、『贈与税法』という法律は存在しません。

贈与税が相続税逃れに利用されることがないように、贈与税の税率は相続税の税率よりもずっと高く決められています。

作成:埼玉県八潮三郷の司法書士法人ひびき

 

 

2013年8月26日 | カテゴリー :