024 町名地番変更の不動産登記(個人所有の不動産の場合)

区画整理で住所が変わると、不動産の登記簿上の住所も変更する必要があります。

区画整理で住所の表記が変わる

現在、八潮駅近辺では区画整理が進んでいます。このうちUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)が整備しているエリアは、比較的近い時期に町の名称や地番が変更され、お住まいの皆様の住所表記も変更されます。
町名地番変更のイメージ

 

不動産登記簿に記載されている「住所」は、申請しないと変更されない!

土地や建物・マンション等の不動産を所有(または共有)している名義人の方は、その不動産登記簿に「住所」と「氏名」が記載されています。

町名地番変更が実施されて住所が変わった場合、登記簿に記載されている名義人の住所は、自動的に変更されません
市外の不動産はもちろん、市内の不動産でも、自動的に変更されません。

不動産登記簿上の住所を、町名地番変更後の新しい住所に変更するには、名義人から管轄法務局に、住所変更の登記(登記名義人住所変更登記)を申請する必要があります。

 

住所変更の登記を申請する期間

いつから?

町名地番変更が実施されても、すぐに住所変更の登記を申請することはできません。なぜかと言えば、管轄法務局で登記簿自体の町名地番変更の作業を行うため、 しばらくの間、登記簿が閉鎖されるからです。

登記簿の閉鎖期間は2~3ヶ月に及ぶため、住所変更の登記を申請することができるのはその後になります。

いつまでに?

住所変更の登記には、期限は特にありません。
そのため、売買や贈与などの所有権の移転や、抵当権の設定や抹消などの際に同時に申請すれば問題ありません。

 

用意する書類は?

登記申請書に、市が発行する「住所変更証明書」(名称は違うかもしれません)を添付して申請します。

ただし、登記簿に記載されている住所から2回以上住所を変更していると、この「住所変更証明書」だけでは、以前に登記簿上の住所に住んでいたことを証明できません。
この場合には住民票や、以前住んでいた市区町村に残っている「除住民票」、本籍地で発行される「戸籍の附票」など、登記簿上の住所から町名地番変更後の新住所までの転居の経緯を証明する書類が必要です。経緯を証明できない場合には、管轄法務局によって扱いが異なるので、事前相談が必要です。

 

費用は?

登記申請の際にかかる登録免許税は、原則として免除されます。

司法書士に依頼した場合には、報酬がかかります。

 

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2014年10月30日 | カテゴリー :

023 夫婦間で居住用不動産等を贈与した場合の配偶者控除

1.贈与税の配偶者控除とは

たとえ相手が配偶者であっても、贈与税の基礎控除額(年間110万円)を超える生前贈与をすると、通常は贈与税がかかります。

しかし、居住用不動産、または居住用不動産を取得するための金銭を、配偶者に生前贈与した場合には、一定の条件下で最高2,000万円(贈与された居住用不動産等の価格が上限)までを控除することができます。これが贈与税の配偶者控除です。基礎控除額110万円とあわせて2,110万円相当までは、贈与税がかかることなく配偶者に贈与できます。

これは、長年連れ添った配偶者の内助の功に報いるための制度です。
夫から妻でも、妻から夫でも、どちらでも適用を受けることができます。
この特例を利用できるのは、同一配偶者からは1回限りです。

「相続税の配偶者控除」とはまったく別の制度なのでご注意ください。

 

2.贈与税の配偶者控除を受けるための要件

(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(戸籍上の婚姻期間を指します。内縁の期間は含みません)

(2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること、または居住用不動産を取得するための金銭であること

(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

(4) 同じ配偶者からの贈与について、過去にこの特例の適用を受けていないこと(注)

(5) 一定の書類を添付の上、贈与税の申告をすること

(注) 同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。

 

3.相続税との関係

生前贈与の後、3年以内に贈与者が亡くなった場合には、通常は贈与財産の価額が相続財産に加算され、相続税の対象になります(相続あんしん相談室Q&A Q052)。
しかし、この特例を利用した贈与については、その後3年以内に贈与者が亡くなっても、相続財産に加算されません

つまり、贈与税も相続税も課税されずに移転できます

ただし、次の点に注意が必要です。

 

4.贈与税の配偶者控除を利用する際の注意

(1)コストの問題

たしかに贈与税はかからないのですが、次の税金はかかります。

不動産取得税(地方税。納付書で納める)
・登録免許税(登記の際にかかる)

既に所有している居住用不動産を贈与するような場合には、不動産取得税も登録免許税も特例がないため、結構な額の税金を納めること(数十万円)になります。

既存不動産を贈与するのではなく、資金を贈与して新築住宅を購入すれば(夫婦共有でも良い)、これらの税金についても特例があるほか、マイホーム購入に認められている各種の税制特例も活用できます。
お連れ合いに新しいマイホームの共有持分をプレゼントし、節税しながら豊かなセカンドライフを送るのは、悪くないかもしれません。

 

(2)相続税対策として考えると

配偶者に対しては『相続税』のほうでも控除があり、法定相続分相当額までは相続税がかからない仕組みになっています。そのため、上記(1)のようなコストをかけて居住用不動産を生前贈与するというのは、『相続税対策』としてだけ考えると、あまり節税効果は期待できません。むしろ、コストの分だけマイナスになる可能性もあります。

資産が多い方の場合には、本特例を利用して配偶者に生前贈与しても、相続税のほうの配偶者控除を利用して配偶者が相続しても、その配偶者が亡くなったとき(二次相続)には、やはり相続税に頭を痛めることになります。

そのため、本特例を活用する意味があるのは、次のようなケースが基本形となります。
(a)コストを負担してでも、配偶者の居住用不動産を確保する必要がある場合
(b)夫婦の豊かなセカンドライフを目指し、前述のように新築住宅の購入を前提として資金を贈与する場合
(c)財産総額が、
相続税の基礎控額をわずかに超えるような場合
(本特例を利用して財産総額を相続税の基礎控除以下に落とせば、一次相続での相続税申告は不要となり、遺産分割で二次相続に配慮した分割を行えば二次相続での相続税申告も不要になる。
贈与税の申告は簡単で自分でもできるが、相続税の申告は難しく税理士報酬が非常に高額であるので、各種コストをかけてでも本特例を使うメリットがある)

もっとも、本特例を利用して居住用不動産をもらい受けた配偶者のほうが先に亡くなり、子がその居住用不動産を相続すれば、相続税の節税効果があります。

 

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2014年7月18日 | カテゴリー :

022 『相続』『遺言』専門ホームページのご案内

ある人がお亡くなりになったときに、土地・建物や預貯金など、その人の遺産をご遺族が引き継ぐことを、『相続手続き』といいます。

たとえば、「遺産分割」「相続人調査(戸籍調査)」「不動産登記」などが代表的です。

 

また、ご自身に万一のことが起きた際、残された家族がもめたり困ったりしないようにあらかじめ準備をすることを『相続対策』といいます。

たとえば、「遺言の作成」「生前贈与」などがこれにあたります。

 

このような『相続手続き』『相続対策』について、当事務所では、このホームページとは別に専門のホームページ(相続あんしん相談室八潮三郷)を用意しております。
よくあるご質問を整理したQ&Aや、お客様の声もかなり充実しています。どうぞご参考になさってください。

 

相続あんしん相談室(八潮・三郷相談室)

 

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021 森林の土地を取得したら、所有者の届出が必要です

平成23年の森林法改正により、平成24年4月1日以降に森林の所有者になった方は、市町村長への事後届出が必要になっています。

 

どうして届出が必要になるの?

森林は名義変更(所有権移転登記)が行われていないケースが多く、登記簿から所有者がわからないことがあります。

そのため、森林の所有者がわからないと行政による助言等ができず、間伐などによって森林を適切に整備することができないので、森林が荒れてしまいます。その結果、樹木の生育不良、環境悪化、土砂災害等を引き起こします。

そこで、森林の所有者を行政が把握しやすくするためにできたのが、この『森林の土地の所有者届出制度』です。

 

届出の対象は?

・都道府県が作成する地域森林計画の対象となる森林を新たに取得した場合には、届出をしなければなりません。

  1. 個人か法人かを問いません。
  2. 売買のほか、贈与・相続・法人の合併等、取得原因を問わずすべてです。
  3. 面積の大小も問いません。
  4. ただし、国土利用計画法に基づく土地売買契約の届出をしている場合には、本届出は必要ありません。
  5. 登記簿上の地目ではなく、実態によって判断されます。
  6. 登記をしても、それとは別に本届出が必要です。

 

いつ届け出るの?

事後届出です。
土地の所有者となった日から90日以内に、取得した土地のある市町村の長に届出をします。

相続の場合、遺産分割が終わっていなくても、相続開始から90日以内に、法定相続人の共有物として届出をする必要があります。

 

届出のための書類は?

1)森林の土地の所有者届出書
林野庁のホームページからダウンロードできます。記入例もあります。なお、記入面積はヘクタールを単位とします。

2)その森林の土地の位置を示す図面
任意の図面に大まかな位置を記入すれば良いです。

3)その森林の土地の権利を取得したことがわかる書類
(例)登記事項証明書、売買契約書、遺産分割協議書、登記識別情報、登記完了証など。いずれもコピー可です。

 

罰則があります!

届出をしない、または虚偽の届出をした場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。

 

その他の注意

たとえ自分の山でも、森林の立木を伐採するときには、届出や許可を受ける必要があります。

 

 

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2014年6月28日 | カテゴリー :

020 リフォームにともなう税の優遇制度(省エネ)

住宅リフォームの種類が、「省エネリフォーム」の場合、次のような税の優遇制度を利用することができます。

(1)投資型減税(1年限りの所得税の控除)
(2)ローン型減税(5年間の所得税控除)
(3)住宅ローン控除(10年間の所得税控除)
(4)固定資産税の軽減
(5)贈与税の特例

※(1)(2)(3)の所得税控除は、いずれかの選択制となります。
所得税からの控除ですから、控除額が、控除を受ける年の所得税額を超えることはありません。ただし(3)の住宅ローン控除では、所得税額で控除しきれない分を翌年の個人住民税から控除する仕組みがあります。

 

(注1)利用するには所定の要件を満たす必要があります。ご注意ください。

(注2)たとえば、「耐震リフォームと一般の増改築を同時に行う」「バリアフリーリフォームと省エネリフォームを同時に行う」というようなケースは少なくありません。このような場合に、税の優遇制度を併用できるかどうかについては、なるべく解説の中で触れますが、詳細は税務署にお問い合わせください。

 

(1)投資型減税(1年限りの所得税の控除)

ローンを利用しない住宅リフォームでも利用できるのが、投資型減税の制度です。
既存住宅に省エネリフォームを施した場合には、利用することができます。

 

【要件】

(1) 「一般断熱改修工事等(太陽光発電設備設置工事等を含む)」を行っていること

【一般断熱改修工事等とは?】
エネルギーの使用の合理化に資する増築、改築、修繕または模様替えを指し、具体的には以下のとおり。

(a)  すべての居室の窓全部の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(必須です!
(b) (a)と併せて行う床等の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(任意)
(c) (a)と併せて行う天井等の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(任意)
(d) (a)と併せて行う天井等の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(任意)
(e) (a)~(d)と併せて行う、当該家屋と一体となって効用を果たす一定の太陽光発電装置などの設備の取替え又は取付工事(任意)⇒太陽電池モジュール等を指します。
(f) (a)~(d)と併せて行う、当該家屋と一体となって効用を果たす一定のエネルギー使用合理化設備の取替え又は取付工事(任意。H26.4.1~)⇒太陽熱利用システム・高効率空調機・高効率給湯器等を指します。

 

(2) 省エネフォームを行う方が、税法上の居住者であること。

(3) この税額控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。

(4) 省エネリフォーム後の居住開始日が、平成21年4月1日から平成29年12月31日までの間であること。

(5) 省エネリフォームの日から6か月以内に居住していること。
(居住の用に供する家屋を二つ以上所有する場合には、主として居住の用に供する一つの家屋に限る)

(6) 省エネリフォーム後の家屋の床面積が、50㎡以上(登記簿上)であること。

(7) 併用住宅の場合、省エネリフォーム後の床面積の2分の1以上が自己の居住用であること。

(8) 一般断熱改修工事等(太陽光発電設備設置工事を含む)に関して国が定める標準的な工事費用相当額から補助金等を差し引いた額が、50万円超であること。

(9) 一般断熱改修工事等(太陽光発電設備設置工事を含む)であることを証明する「増改築等工事証明書」等を添付して確定申告すること。

 

【控除率】

平成26年4月1日~平成29年12月31日までの間に省エネリフォームを完了した場合
→一般断熱改修工事等に関して”国が定めた標準的な工事費用”の10%
・ただし、上限は原則が25万円で、工事費用にかかる消費税が5%なら上限は20万円です。
・一般断熱改修工事等と併せて太陽光発電設備設置工事を行う場合、上限は原則が35万円で、工事費用にかかる消費税が5%なら上限は30万円です。
・”国が定めた標準的な工事費用”は、増改築等工事証明書に記載されています。
・補助金などをもらっている場合には、その補助金の額を差し引いてから、控除率を掛けます。

 

 

 

(2)ローン型減税(5年間の所得税控除)

償還期間5年以上の住宅ローンを借りて自分の家を省エネ仕様にリフォームした場合には、5年間の所得税控除(控除率2%または1%)を受けることができます。これがローン型減税の制度で、正式名称は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」といいます。

一般の住宅ローン控除(10年間の所得税控除)と比べると、要件がいろいろと細かいのですが、特定断熱改修工事費用相当額の部分については控除率が2%と高めになっています。

 

【要件】

(1) 「断熱改修工事等」または「特定断熱改修工事等」を含む増改築工事を行っていること。なお、省エネリフォームと併用して適用を受ける増改築等工事は、住宅ローン控除の適用対象工事であること。

【断熱改修工事等とは?】
エネルギーの使用の合理化に相当程度資する増築、改築、修繕または模様替えを指し、具体的には以下のとおり。

(a)  すべての居室の窓全部の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(必須です!
(b) (a)と併せて行う床等の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(任意)
(c) (a)と併せて行う天井等の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(任意)
(d) (a)と併せて行う天井等の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(任意)
(e) 住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階相当以上上がる工事内容であること(必須、ただしH27.12.31まではこの条件は適用されない)

 

【特定断熱改修工事等とは?】
エネルギーの使用の合理化にいちじるしく資する増築、改築、修繕または模様替えを指し、具体的には以下のとおり。

・ 上記の断熱改修工事等のうち、改修後の住宅全体の省エネ性能が平成11年基準相当となると認められる工事

 

(2) 省エネリフォームを行う方が、税法上の居住者であること。

(3) この税額控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。

(4) 省エネリフォーム後の居住開始日が、平成21年4月1日から平成29年12月31日までの間であること。

(5) 省エネリフォームの日から6か月以内に居住し、適用年の12月31日まで引き続き住んでいること。
(居住の用に供する家屋を二つ以上所有する場合には、主として居住の用に供する一つの家屋に限る)

(6) 省エネリフォーム後の家屋の床面積が、50㎡以上(登記簿上)であること。

(7) 併用住宅の場合、省エネリフォーム後の床面積の2分の1以上が自己の居住用であること。

(8) 省エネリフォームに関して国が定める標準的な工事費用相当額から補助金等を差し引いた額が、50万円超であること。

(9) リフォームのために償還期間が5年以上の住宅ローン等を借り入れていること。

(10) 省エネリフォームであることを証明する「増改築等工事証明書」等を添付して確定申告すること。

 

【控除率】

平成26年4月1日~平成29年12月31日までの間に省エネリフォームを完了した場合


特定増改築のローン型減税

控除率が2%になるのは、「特定断熱改修工事等」に限られます。「特定断熱改修工事等」を満たさない「断熱改修工事等」を行った場合には、控除率は1%です。

・工事費用にかかる消費税が5%なら、控除率2%の適用があるのは工事費用200万円まで、最大控除額は12万円/年となります。
・バリアフリーリフォームと省エネリフォームをあわせて行う場合でも、借入金残高の上限額や控除率2%の適用を受けられる工事費用上限額は変わりません。
・補助金などをもらっている場合には、その補助金の額を差し引いてから、控除率を掛けます。

 

 

(3)住宅ローン控除(10年間の所得税控除)

償還期間10年以上の住宅ローンを借りて増改築を行う場合に、10年間の所得税控除(控除率1%)を受けることができるのが住宅ローン控除の制度で、正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。

増改築の内容に制限がないので、「省エネリフォーム」でももちろん利用できます。

控除率や要件等の制度内容は、新築や取得の際の住宅ローン控除とほとんど同一です。401 住宅ローン控除について(新築・取得の場合)をご覧ください。
ただし増改築の場合には、以下の要件が追加されます。

(A)その工事費用の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。

(B)次のいずれかの工事に該当するものであること。

・増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模の模様替えの工事
(注)ここで言う「大規模な修繕または大規模の模様替え」とは、建築物の主要部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)のいずれか1種以上について行う過半の修繕・模様替えを指す。

・マンションなどの区分所有する部分の床、階段、間仕切り壁、壁(遮音性・断熱性を向上させるものに限る)の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事

・家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、廊下について、一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事

・新耐震基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事

・一定のバリアフリー改修工事

・一定の省エネ改修工事

 

 

 

(4)固定資産税の軽減

要件を満たす省エネリフォーム(熱損失防止改修工事)を行うと、翌年度のみ、一定の割合で固定資産税が軽減される制度。

なお、省エネリフォームについての固定資産税特例は、「耐震」リフォームによる固定資産税の特例と同一年度に適用することができないため、どちらかの特例を選択する必要があります。
反対に、「バリアフリー」リフォームによる減額との併用は可能です。

 

【要件】

以下のすべてに該当すること

(1)平成20年1月1日以前から存在する住宅であること(賃貸住宅を除く)

(2)平成28年3月31日までに工事を完了すること

(3)併用住宅の場合、リフォーム後の家屋の居住部分が2分の1以上であること

(4)下記の熱損失防止改修工事であること
(a)  窓の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(必須。なお、すべての窓でなくてもOK
(b) (a)と併せて行う床等の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(任意)
(c) (a)と併せて行う天井等の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(任意)
(d) (a)と併せて行う天井等の改修工事で、改修部位の省エネ性能が平成11年基準以上になる工事(任意)
(5)省エネリフォーム費用が50万円を超えること(補助金差し引き後)

(6)工事完了後3ヶ月以内に市区町村(都内は都税事務所)に申告すること。

 

【減額される税額】

一戸あたりの居住面積が120㎡以下の場合 :3分の1
一戸当たりの居住面積が120㎡を超える場合:120㎡相当分の3分の1(120㎡を超える部分は適用外

※建物のみ適用。土地には適用なし。

 

【減額される期間】

1年間のみ

 

 

 

(5)贈与税の特例

・「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」については、省エネリフォームでも利用可能です。

329 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例をご覧ください。

 

・「相続時精算課税制度の住宅取得等資金の特例」についても、省エネリフォームでも利用可能です。

326 相続時精算課税制度(2) 適用要件と住宅資金等特例をご覧ください。

 

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019 リフォームにともなう税の優遇制度(バリアフリー)

住宅リフォームの種類が、「バリアフリーリフォーム」の場合、次のような税の優遇制度を利用することができます。

(1)投資型減税(1年限りの所得税の控除)
(2)ローン型減税(5年間の所得税控除)
(3)住宅ローン控除(10年間の所得税控除)
(4)固定資産税の軽減
(5)贈与税の特例

※(1)(2)(3)の所得税控除は、いずれかの選択制となります。
所得税からの控除ですから、控除額が、控除を受ける年の所得税額を超えることはありません。ただし(3)の住宅ローン控除では、所得税額で控除しきれない分を翌年の個人住民税から控除する仕組みがあります。

 

(注1)利用するには所定の要件を満たす必要があります。ご注意ください。

(注2)たとえば、「耐震リフォームと一般の増改築を同時に行う」「バリアフリーリフォームと省エネリフォームを同時に行う」というようなケースは少なくありません。このような場合に、税の優遇制度を併用できるかどうかについては、なるべく解説の中で触れますが、詳細は税務署にお問い合わせください。

 

税の優遇が受けられるバリアフリーリフォームの内容とは

なお、対象となる「バリアフリーリフォーム」とは、次のような工事(高齢者等居住改修工事等)を指します。詳細な要件については建築士さん等にご確認ください。

  1. 通路等の拡幅
    介助用の車いすで容易に移動するために、通路または出入口の幅を拡張する工事
  2. 階段のこう配の緩和
    階段の設置(既存の階段の撤去を伴うものに限る。)または改良により、その勾配を緩和する工事 
  3. 浴室の改良
    浴室を改良する工事であって、次のいずれかに該当するもの

    • 入浴またはその介助を容易に行うために浴室の床面積を増加させる工事
    • 浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事
    • 固定式の移乗台、踏み台その他の高齢者等の浴室の出入りを容易にする設備を設置する工事
    • 高齢者等の身体の洗浄を容易にする水栓器具を設置し、または同器具に取り替える工事
  4. 便所の改良
     便所を改良する工事であって、次のいずれかに該当するもの

    • 排泄又はその介助を容易に行うために便所の床面積を増加させる工事
    • 便器を座便式のものに取り替える工事
    • 座便式の便器の座高を高くする工事
  5. 手すりの取り付け
    便所、浴室、脱衣室その他の居室、および玄関、ならびにこれらを結ぶ経路に手すりを取り付ける工事
  6. 段差の解消
    便所、浴室、脱衣室その他の居室、および玄関、ならびにこれらを結ぶ経路の床の段差を解消する工事
    (勝手口その他屋外に面する開口の出入口、および上がりかまち、ならびに浴室の出入口にあっては、段差を小さくする工事を含みます。)
  7. 出入口の戸の改良
    出入口の戸を改良する工事であって、次のいずれかに該当するもの

    • 開戸を引戸、折戸等に取り替える工事
    • 開戸のドアノブをレバーハンドル等に取り替える工事
    • 戸に戸車その他の戸の開閉を容易にする器具を設置する工事
  8. 滑りにくい床材料への取り替え
    便所、浴室、脱衣室その他の居室、および玄関、ならびにこれらを結ぶ経路の床の材料を、滑りにくいものに取り替える工事

※介護保険法にもとづく住宅改修費等の支給対象となるバリアフリーリフォームでも、所得税の控除や固定資産税の軽減を受けられない場合があります。

 

(1)投資型減税(1年限りの所得税の控除)

ローンを利用しない住宅リフォームでも利用できるのが、投資型減税の制度です。
既存住宅にバリアフリーリフォームを施した場合には、利用することができます。

 

【要件】

(1) リフォームの内容が、前記のバリアフリー工事(高齢者等居住改修工事等)であること

(2) バリアフリーリフォームを行う方が、次のいずれかに該当する税法上の居住者であること。
イ 50歳以上(工事が完了して居住した年の12月31日時点で)
ロ 介護保険法に規定する要介護、または要支援の認定を受けている
ハ 所得税法上の障害者
ニ 65歳以上の親族、または上記ロ・ハに該当する親族と、同居している人
(注) 50歳、65歳及び同居の判定は、居住年の12月31日(年の途中で死亡した場合には死亡の時)の現況によります。

(3) この税額控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。

(4) バリアフリーリフォーム後の居住開始日が、平成21年4月1日から平成29年12月31日までの間であること。

(5) バリアフリーリフォームの日から6か月以内に居住していること。
(居住の用に供する家屋を二つ以上所有する場合には、主として居住の用に供する一つの家屋に限る)

(6) バリアフリーリフォーム後の家屋の床面積が、50㎡以上(登記簿上)であること。

(7) 併用住宅の場合、バリアフリーリフォーム後の床面積の2分の1以上が自己の居住用であること。

(8) バリアフリーリフォームに関して国が定める標準的な工事費用相当額から補助金等を差し引いた額が、50万円超であること。

(9) バリアフリーリフォームであることを証明する「増改築等工事証明書」等を添付して確定申告すること。

 

【控除率】

平成26年4月1日~平成29年12月31日までの間にバリアフリーリフォームを完了した場合
→バリアフリー改修工事に関して”国が定めた標準的な工事費用”の10%
・ただし、上限は原則が20万円で、工事費用にかかる消費税が5%なら上限は15万円です。
・”国が定めた標準的な工事費用”は、増改築等工事証明書に記載されています。
・補助金などをもらっている場合には、その補助金の額を差し引いてから、控除率を掛けます。

 

 

 

(2)ローン型減税(5年間の所得税控除)

償還期間5年以上の住宅ローンを借りて自分の家をバリアフリー仕様にリフォームした場合には、5年間の所得税控除(控除率2%または1%)を受けることができます。これがローン型減税の制度で、正式名称は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」といいます。

一般の住宅ローン控除(10年間の所得税控除)と比べると、要件がいろいろと細かいのですが、バリアフリー改修工事費用相当額の部分については控除率が2%と高めになっています。

 

【要件】

※適用要件は(1)の投資型減税とよく似ています。

(1) リフォームの内容が、前記のバリアフリー工事(高齢者等居住改修工事等)を含むこと。バリアフリーリフォームと併用して適用を受ける増改築等工事は、住宅ローン控除の適用対象工事であること。

(2) バリアフリーリフォームを行う方が、次のいずれかに該当する税法上の居住者であること。
イ 50歳以上(工事が完了して居住した年の12月31日時点で)
ロ 介護保険法に規定する要介護、または要支援の認定を受けている
ハ 所得税法上の障害者
ニ 65歳以上の親族、または上記ロ・ハに該当する親族と、同居している人
(注) 50歳、65歳及び同居の判定は、居住年の12月31日(年の途中で死亡した場合には死亡の時)の現況によります。

(3) この税額控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。

(4) バリアフリーリフォーム後の居住開始日が、平成21年4月1日から平成29年12月31日までの間であること。

(5) バリアフリーリフォームの日から6か月以内に居住し、適用年の12月31日まで引き続き住んでいること。
(居住の用に供する家屋を二つ以上所有する場合には、主として居住の用に供する一つの家屋に限る)

(6) バリアフリーリフォーム後の家屋の床面積が、50㎡以上(登記簿上)であること。

(7) 併用住宅の場合、バリアフリーリフォーム後の床面積の2分の1以上が自己の居住用であること。

(8) バリアフリーリフォームに関して国が定める標準的な工事費用相当額から補助金等を差し引いた額が、50万円超であること。

(9) リフォームのために償還期間が5年以上の住宅ローン等を借り入れていること。

(10) バリアフリーリフォームであることを証明する「増改築等工事証明書」等を添付して確定申告すること。

 

【控除率】

平成26年4月1日~平成29年12月31日までの間にバリアフリーリフォームを完了した場合


特定増改築のローン型減税

・ただし、工事費用にかかる消費税が5%なら、控除率2%の適用があるのは工事費用200万円まで、最大控除額は12万円/年となります。
・バリアフリーリフォームと省エネリフォームをあわせて行う場合でも、借入金残高の上限額や控除率2%の適用を受けられる工事費用上限額は変わりません。
・補助金などをもらっている場合には、その補助金の額を差し引いてから、控除率を掛けます。

 

 

(3)住宅ローン控除(10年間の所得税控除)

償還期間10年以上の住宅ローンを借りて増改築を行う場合に、10年間の所得税控除(控除率1%)を受けることができるのが住宅ローン控除の制度で、正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。

増改築の内容に制限がないので、「バリアフリーリフォーム」でももちろん利用できます。

控除率や要件等の制度内容は、新築や取得の際の住宅ローン控除とほとんど同一です。401 住宅ローン控除について(新築・取得の場合)をご覧ください。
ただし増改築の場合には、以下の要件が追加されます。

(A)その工事費用の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。

(B)次のいずれかの工事に該当するものであること。

・増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模の模様替えの工事
(注)ここで言う「大規模な修繕または大規模の模様替え」とは、建築物の主要部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)のいずれか1種以上について行う過半の修繕・模様替えを指す。

・マンションなどの区分所有する部分の床、階段、間仕切り壁、壁(遮音性・断熱性を向上させるものに限る)の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事

・家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、廊下について、一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事

・新耐震基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事

・一定のバリアフリー改修工事

・一定の省エネ改修工事

 

 

 

(4)固定資産税の軽減

要件を満たすバリアフリーリフォームを行うと、翌年度のみ、一定の割合で固定資産税が軽減される制度。

なお、バリアフリーリフォームについての固定資産税特例は、「耐震」リフォームによる固定資産税の特例と同一年度に適用することができないため、どちらかの特例を選択する必要があります。
反対に、「省エネ」リフォームによる減額との併用は可能です。

 

【要件】

以下のすべてに該当すること

(1)平成19年1月1日以前から存在する住宅であること(賃貸住宅を除く)

(2)平成28年3月31日までに工事を完了すること

(3)併用住宅の場合、リフォーム後の家屋の居住部分が2分の1以上であること

(4)次のいずれかの方が居住していること
・65歳以上の方(工事完了年の1月1日時点)
・要介護、または要支援認定を受けている方
・障害者の方

(5)バリアフリーリフォーム費用が50万円を超えること(補助金差し引き後)

(6)工事完了後3ヶ月以内に市区町村(都内は都税事務所)に申告すること

 

【減額される税額】

一戸あたりの居住面積が100㎡以下の場合 :3分の1
一戸当たりの居住面積が100㎡を超える場合:100㎡相当分の3分の1(100㎡を超える部分は適用外

※建物のみ適用。土地には適用なし。

 

【減額される期間】

1年間のみ

 

 

(5)贈与税の特例

・「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」については、バリアフリーリフォームでも利用可能です。

329 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例をご覧ください。

 

・「相続時精算課税制度の住宅取得等資金の特例」についても、バリアフリーリフォームでも利用可能です。

326 相続時精算課税制度(2) 適用要件と住宅資金等特例をご覧ください。

 

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018 リフォームにともなう税の優遇制度(耐震リフォーム)

住宅リフォームの種類が、「耐震リフォーム」の場合、税の優遇制度のうち利用可能なもの・利用できないものは、以下のとおりです。

なお、ここで言う「耐震リフォーム」とは、新耐震基準(昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用されています)を満たしていない住宅を、基準を満たすように改修することを指します。

(注1)利用するには所定の要件を満たす必要があります。ご注意ください。

(注2)たとえば、「耐震リフォームと一般の増改築を同時に行う」「バリアフリーリフォームと省エネリフォームを同時に行う」というようなケースは少なくありません。このような場合に、税の優遇制度を併用できるかどうかについては、なるべく解説の中で触れますが、詳細は税務署にお問い合わせください。

 

 

(1)投資型減税(1年限りの所得税の控除)

ローンを利用しない住宅リフォームでも利用できるのが、投資型減税の制度です。
既存住宅に耐震リフォームを施した場合には、利用することができます。
住宅ローン控除との併用や、「バリアフリー」「省エネ」の各リフォームについての投資型減税と、併用が可能です。

 

【要件】

(1) 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であって、自己の居住の用に供する家屋であること。
(居住の用に供する家屋を二つ以上所有する場合には、主として居住の用に供する一つの家屋に限る)

(2) 耐震改修(地震に対する安全性の向上を目的とした増築、改築、修繕または模様替えをいう。以下同じ)をした家屋が、現行の耐震基準に適合するものであること。

(3) 平成29年12月31日までに工事を完了すること。

(4) 住宅耐震改修を行った者が、税法上の「居住者」であること

(5) 確定申告をして、「住宅耐震改修証明書」等の必要書面を添付すること

※住宅ローンを借りていなくても利用でき、所得金額の制限もありません!

 

【控除率】

平成26年4月1日~平成29年12月31日までの間に耐震リフォームを完了した場合
→住宅耐震改修に関して”国が定めた標準的な工事費用”の10%
・ただし、上限は原則が25万円で、工事費用にかかる消費税が5%なら上限は20万円です。
・”国が定めた標準的な工事費用”は、住宅耐震改修証明書に記載されています。
・補助金などをもらっている場合には、その補助金の額を差し引いてから、控除率を掛けます。

 

 

 

(2)ローン型減税(5年間の所得税控除)

償還期間5年以上の住宅ローンを借りて”特定の増改築”を行う場合に、5年間の所得税控除(控除率2%または1%)を受けることができるのがローン型減税の制度で、正式名称は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」といいます。

「耐震リフォーム」の場合、”特定の増改築”に当てはまらないので、ローン型減税の制度は利用できません。ただし、一定の「バリアフリー」「省エネ」リフォームと同時に行う場合には、耐震リフォームの部分についてもローン型減税の制度を利用することができます。

詳細は「バリアフリー」「省エネ」リフォームのページで説明します。

 

 

(3)住宅ローン控除(10年間の所得税控除)

償還期間10年以上の住宅ローンを借りて増改築を行う場合に、10年間の所得税控除(控除率1%)を受けることができるのが住宅ローン控除の制度で、正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。

増改築の内容に制限がないので、「耐震リフォーム」でももちろん利用できます。

控除率や要件等の制度内容は、新築や取得の際の住宅ローン控除とほとんど同一です。401  住宅ローン控除について(新築・取得の場合)をご覧ください。
ただし増改築の場合には、以下の要件が追加されます。

(A)その工事費用の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。

(B)次のいずれかの工事に該当するものであること。

・増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模の模様替えの工事
(注)ここで言う「大規模な修繕または大規模の模様替え」とは、建築物の主要部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)のいずれか1種以上について行う過半の修繕・模様替えを指す。

・マンションなどの区分所有する部分の床、階段、間仕切り壁、壁(遮音性・断熱性を向上させるものに限る)の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事

・家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、廊下について、一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事

・新耐震基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事

・一定のバリアフリー改修工事

・一定の省エネ改修工事

 

 

 

(4)固定資産税の軽減

要件を満たすリフォームを行うと、1年度または2年度の期間、一定の割合で固定資産税が軽減される制度。

なお、耐震リフォームについての固定資産税特例は、「バリアフリー」「省エネ」リフォームによる固定資産税の特例と同一年度に適用することができないため、どちらかの特例を選択する必要があります。

 

【要件】

以下のすべてに該当すること

(1)昭和57年1月1日以前から存在する住宅であること

(2)平成27年12月31日までに工事を完了すること

(3)併用住宅の場合、耐震リフォーム後の家屋の居住部分が2分の1以上であること

(4)現行の耐震基準に適合する耐震改修であること

(5)耐震改修工事費用が50万円を超えること

(6)「固定資産税減額証明書」または「住宅性能評価書の写し」を添付して、工事完了後3ヶ月以内に市区町村(都内は都税事務所)に申告すること

※耐震化のために「建て替え」を行う場合の固定資産税特例とは、申請期限などの要件が異なります。

 

【減額される税額】

一戸あたりの居住面積が120㎡以下の場合 :2分の1
一戸当たりの居住面積が120㎡を超える場合:120㎡相当分の2分の1(120㎡を超える部分は適用外

 

【減額される期間】

原則として1年間のみ
「通行障害既存耐震不適格建築物」について耐震リフォームを行った場合2年間

 

 

(5)贈与税の特例

・「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」については、耐震リフォームでも利用可能です。

329 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例をご覧ください。

 

・「相続時精算課税制度の住宅取得等資金の特例」についても、耐震リフォームでも利用可能です。

326 相続時精算課税制度(2) 適用要件と住宅資金等特例をご覧ください。

 

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017 リフォームにともなう税の優遇制度(一般増改築の場合)

住宅リフォームの種類が、「耐震リフォーム」「バリアフリーリフォーム」「省エネリフォーム」のいずれにも当てはまらない一般の増改築の場合、税の優遇制度のうち利用可能なもの・利用できないものは、以下のとおりです。

(注1)利用するには所定の要件を満たす必要があります。ご注意ください。

(注2)たとえば、「耐震リフォームと一般の増改築を同時に行う」「バリアフリーリフォームと省エネリフォームを同時に行う」というようなケースは少なくありません。このような場合に、税の優遇制度を併用できるかどうかについては、なるべく解説の中で触れますが、詳細は税務署にお問い合わせください。

 

 

(1)投資型減税(1年限りの所得税の控除)

ローンを利用しない住宅リフォームでも利用できるのが、投資型減税の制度です。

しかし、「耐震」「バリアフリー」「省エネ」のいずれにも該当しない一般の増改築では、投資型減税の制度は利用できません。

 

 

(2)ローン型減税(5年間の所得税控除)

償還期間5年以上の住宅ローンを借りて”特定の増改築”を行う場合に、5年間の所得税控除(控除率2%または1%)を受けることができるのがローン型減税の制度で、正式名称は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」といいます。

一般の増改築の場合、”特定の増改築”に当てはまらないので、ローン型減税の制度は利用できません。ただし、一定の「バリアフリー」「省エネ」リフォームと同時に行う場合には、一般の増改築の部分についてもローン型減税の制度を利用することができます。

詳細は「バリアフリー」「省エネ」リフォームのページで説明します。

 

 

(3)住宅ローン控除(10年間の所得税控除)

償還期間10年以上の住宅ローンを借りて増改築を行う場合に、10年間の所得税控除(控除率1%)を受けることができるのが住宅ローン控除の制度で、正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。

「耐震」「バリアフリー」「省エネ」といった基準に当てはまらない一般の増改築の場合にも、幅広く利用できるのが特徴です。

控除率や要件等の制度内容は、新築や取得の際の住宅ローン控除とほとんど同一です。401  住宅ローン控除について(新築・取得の場合)をご覧ください。
ただし増改築の場合には、以下の要件が追加されます。

(A)その工事費用の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。

(B)次のいずれかの工事に該当するものであること。

増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模の模様替えの工事
(注)ここで言う「大規模な修繕または大規模の模様替え」とは、建築物の主要部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)のいずれか1種以上について行う過半の修繕・模様替えを指す。

マンションなどの区分所有する部分の床、階段、間仕切り壁、壁(遮音性・断熱性を向上させるものに限る)の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事

家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、廊下について、一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事

 

 

 

(4)固定資産税の軽減

要件を満たすリフォームを行うと、1年度または2年度の期間、一定の割合で固定資産税が軽減される制度。

しかし、「耐震」「バリアフリー」「省エネ」のいずれにも該当しない一般の増改築では、固定資産税が軽減される制度はありません。

 

 

(5)贈与税の特例

・「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」については、一般の増改築でも利用可能です。329 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例をご覧ください。

 

・「相続時精算課税制度の住宅取得等資金の特例」についても、一般の増改築でも利用可能です。326 相続時精算課税制度(2) 適用要件と住宅資金等特例をご覧ください。

 

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016 増改築・リフォームの減税について

住宅リフォームは良き老いじたく?

突然ですが、『家庭内事故』による死亡者が、1年間にどのくらいいるか、ご存知ですか?

厚生労働省の平成21年人口動態統計によれば、平成21年の1年間で、実に12,873人もの方が『家庭内事故』で亡くなったと発表されています。

同じ年に『交通事故』で24時間以内に亡くなった方が4,914人ですから、これは大変な数です。

 

原因別にみると「転倒・転落」「入浴中の溺死」がほぼ半分を占めています。

風呂上がりなど、住宅内の温度差によって心筋梗塞や脳卒中を引き起こす『ヒートショック』が近年話題になっていますが、これによる死者数は、一部が本統計の溺死者数に含まれるものの、単純な病死と判定されて本統計に含まれていないケースも多いと言われています。
家庭内事故によって亡くなる方は、もっと多いのかもしれません。

また、年齢別にみると約8割が65歳以上です。
一戸建ての大半が2階建てや3階建てであり、温度差の大きい木造住宅が多いという日本の住宅事情が、ご高齢の方には厳しいのかもしれません。

 

しかし、このような家庭内事故の中には、住宅リフォームによって防止できるものが多くなってきています。

たとえば、リフォームによって家の中をバリアフリー化できれば、特にご高齢の方に多い転倒・転落事故の危険を、大幅に少なくすることができます。

また、断熱性能を高めて住宅内の温度差を少なくできれば、冷暖房の効率化によって省エネになるだけでなく、ヒートショックによる事故を防げる可能性が高まります。

耐震性能の向上による巨大地震への備えも、忘れてはいけません。

このように考えると、人生のどこかのタイミングで住宅をリフォームするということは、ある意味でとても素敵な『老いじたく』なのかもしれません。
先ほどの『家庭内事故』防止に役立つことはもちろんですが、たとえば趣味・実用に活かすような自宅の増改築をすれば、きっと深い満足感を得られるに違いありません。
そうでなくても、新しい木の香りや広々としたリビングが、毎日の生活を心豊かにしてくれるでしょう。

そればかりか、まとまったお金を増改築・リフォームにあてることによって、将来の相続財産を減らす効果もありますから、これはある意味では相続税対策になるのです。相続税対策にもいろいろありますが、毎日の生活を豊かにしてくれるという点で、住宅リフォームは秀逸といえるかもしれません。

 

住宅リフォーム・増改築に関する優遇税制は複雑

住宅リフォーム・増改築は、程度の大小はあってもそれなりに資金の支出をともないます。かけるべきところにはきちんとお金をかけるべきですが、無駄な支出は極力さけたいところです。

また、耐震や省エネ・バリアフリーに関する住宅リフォームは、政府・自治体も後押ししています。そこで、受けられる税制上の特典や補助金については、あらかじめよく調べておく必要があります。

住宅の増改築・リフォームについて利用できる税制上の特典は、主に次のようなものがあります。

ア:住宅借入金等特別控除

イ:特定増改築等住宅借入金等特別控除(省エネ・バリアフリー)

ウ:住宅特定改修特別税額控除(省エネ・バリアフリー)

エ:住宅耐震改修特別控除(耐震)

オ:固定資産税の軽減

当初はこれらを制度ごとに取り上げようと考えていたのですが、併用できるもの・できないものがあり、非常に分かりにくく思われます。そこで、本コラムでは「耐震改修」「バリアフリー改修」「省エネ改修」「その他」に分け、それぞれで使える制度を説明して行く予定です(執筆者の気力が続けばですが・・・)。

 

 

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015 すまい給付金について(新築住宅の場合)

すまい給付金とは

平成26年4月に、消費税が5%から8%に引き上げられました。

平成9年に消費税が3%から5%になった際には、その後しばらく住宅が売れないという影響がありました。今回も増税によって住宅が売れなくなる事態が予想され、それを避けるために『住宅ローン控除』『投資型減税』が拡大されました。

しかし、住宅ローン控除は、納付した所得税から住宅ローンの残高に応じた一定の金額が控除されるという仕組みです。そのため、そもそも納付した所得税が少ない(=所得が少ない)層には比較的恩恵が少ない制度であると言えるのです。

ところが、消費税が増税されると、逆に所得が少ない層のほうが影響が大きいという問題点があります。そのため、住宅ローン控除の拡大だけでは住宅市場の落ち込みを防げないのではないか、と心配されていました。

そこで、住宅を購入した方の収入が一定以下の場合にかぎって最大30万円(消費税8%時)の現金を支給することになりました(支給される額は収入額と持分割合によって決まります)。これが『すまい給付金』の制度です。
なお、消費税が10%になった場合には最大50万円に拡大されます。

新築住宅ばかりでなく、一定の中古住宅も対象になりますが、適用条件が違います。

平成26年4月1日から平成29年12月31日までの実施が予定されています。

 

すまい給付金を受け取れる条件

(A)受け取れる人の条件

(1)住宅を取得し、”建物”の登記簿上に持分を保有すること

→土地のほうに持分があってもダメです。なぜなら、土地は消費するものではなく消費税がかからないので、消費増税の影響を緩和するためという、すまい給付金制度の趣旨に合わないからです。

 

(2)取得した住宅に居住していること(住民票で判定されます)

→夫婦で共有にした場合等、登記上の共有持分を保有する方が複数名居住している場合には、別々に申請しなければなりません。すまい給付金は個人単位で、世帯単位ではないのです。

 

(3)収入が一定額以下であること・・・都道府県民税の所得割額で判定

(消費税 8%時)都道府県民税の所得割額が9.38万円以下
(消費税10%時)都道府県民税の所得割額が17.26万円以下(住宅ローン利用者)

→神奈川県だけはちょっと違います。
→「どうして年収じゃないの?」かというと、たとえ年収が同じであっても扶養家族の有無や医療費の多少などによって実際に使えるお金には個人差があるので、なるべく公平になるように、扶養控除や諸経費を差し引いた後の「課税所得」で判定することにしたのです。ところが「課税所得」を課税証明書に記載していない自治体もあって、困ってしまいます。そこで、「課税所得」から計算した『都道府県民税の所得割額』を利用します。こちらは個人住民税の課税証明書には必ず記載されているからです。

 

(4)(住宅ローンを利用しない場合のみ)年齢が50歳以上で、都道府県民税の所得割額が13.30万円以下

→消費税8%の段階ではもともと所得割額の条件が9.38万円以下なので、住宅ローンを利用しない場合には年齢制限だけが加わります。なお、住宅ローンには親類・知人などからの借入金は含みません。住宅ローン控除と同じです。

→年齢は、当該住宅の引渡しを受けた年の12月31日時点での年齢をいいます。たとえば、誕生日が10月の人なら、4月(当時49才)に住宅の引渡しを受ける場合は、年齢が50才として扱います。

 

(B)住宅の条件(新築の場合

(1)人の居住の用に供したことのない住宅であって、工事完了から1年以内のものであること
(住宅・新築住宅の定義は、品確法と同じです)

 

(2)登記簿上の建物(マンションなら専有部分)の住宅部分の面積が50㎡以上あること。

→対象となる住宅の床面積が50㎡以上であることが要件となっています。この床面積の測定方法は、不動産登記上の床面積と同じです(戸建住宅の場合は壁心、共同住宅の場合は内法により測定)。

 

(3)第三者の現場検査を受けて一定の品質が確認された住宅であること(次のいずれか)
・住宅瑕疵担保責任保険(建設業許可を有さないものが加入する住宅瑕疵担保責任任意保険を含む)へ加入した住宅
・建設住宅性能表示を利用する住宅
・住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施された住宅

 

(4)(住宅ローンを利用しない場合のみ)住宅金融支援機構のフラット35Sと同等の基準を満たす住宅

→フラット35Sの基準
次の1~4のいずれかに該当する住宅のことです
1.耐震性に優れた住宅(耐震等級2以上の住宅または免震建築物)
2.省エネルギー性に優れた住宅(等級4)
3.バリアフリー性に優れた住宅(等級3)
4.耐久性・可変性に優れた住宅(劣化対策等級3、維持管理対策等級2)

 

すまい給付金の額

(1)消費税8%時

都道府県民税の所得割額が6.89万円以下:30万円
8.39万円以下:20万円
9.38万円以下:10万円

 

(2)消費税10%時

都道府県民税の所得割額が7.60万円以下:50万円
9.79万円以下:40万円
11.90万円以下:30万円
14.06万円以下:20万円
17.26万円以下:10万円
(ただし、住宅ローンを利用しない方の場合は、都道府県民税の所得割額が13.30万円以下の場合にしか適用がないことに注意してください!)

 

すまい給付金の申請手続き

すまい給付金事務局に申請書と添付書類を郵送するか、窓口に提出します。
住宅業者によっては手続きを代行してくれる場合もあります。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

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